めち忘備録

毎日もにもに

読書/『永遠の森 博物館惑星』菅浩江

昨日の帰りに寄った大宮の書店で、一緒にいた友人に薦められて購入。

帰りの電車の中で読み始めたら夢中で止まらなくなって、昼休みに読了しました。そういえばこうやって小説を読むのは、かなりひさしぶりのことかもしれない。

 

>地球の衛星軌道上に浮かぶ巨大博物館“アフロディーテ”。そこには全世界のありとあらゆる芸術品が収められ、データベース・コンピュータに直接接続した学芸員たちが、分析鑑定を通して美の追究に勤しんでいた。総合管轄部署の田代孝弘は、日々搬入されるいわく付きの物品に対処するなかで、芸術にこめられた人びとの想いに触れていく…。優しさと切なさの名手が描く、美をめぐる9つの物語。

 

実は普段からあまりSF小説と呼ばれるものを読みません。

でもこの本がすごく面白くて、夢中になって読んで。なんで今まで読まなかったのだろうかと考えたら、別にSF小説に限らず好みの傾向の問題だったのかもしれない。

大きな世界のスケールが大きすぎる漠然とした物語よりも、その世界の片隅に広がっている、登場人物たちの手が届く範囲の物語が好き、なんだと思います。周りの人々やものに影響されてゆるやかに動いていく登場人物の心の変化、とか。

大きな世界で人々の関わり合いを描いているのならそれはもちろん好きなので、ジャンルで敬遠せずに少しずつ手を伸ばしていきたいと思った、優しい作品でした。

 

あと、作中の<ムネーモシュネー>とのやり取りで『スカーレッドウィザード』のダイアナ・イレヴンスを思い出した。『デルフィニア戦記』の流れで読んでいたので、こちらはSFというよりファンタジーとして捉えていましたが。